日本の平均世帯年収はいくらなのでしょうか。
年代や家族構成ごとの平均所得金額や、一人当たりの所得の平均と中央値を調べてみました。
自分の実態と比較してみてください。
平均世帯年収とは
世帯年収とは、世帯を共にする構成員の年収を足し合わせた年収のことです。
また「世帯」とは、住居及び生計を共にする者の集まり又は独立して住居を維持し、若しくは独立して生計を営む単身者のことをいいます。(厚生労働省 国民生活基礎調査 2019年)
平均世帯年収の求め方は下記のようになります。
下記に三世帯あった場合を想定してみます。
A家の年収 | 年収300万円 |
B家の年収 | 年収500万円(夫350万円+妻150万円) |
C家の年収 | 年収700万円 |
平均世帯年収 | (300+500+700)÷3=500万円 |
このように、全ての世帯の年収を足し合わせて世帯数で割った値が平均世帯年収となります。
平均所得金額と所得の中央値の違いとは
所得とは、年収から給与所得控除を行った値になります。
日本の平均世帯所得とは世帯の所得を全て足し合わせた後に、その世帯数で割ることで産出されます。
所得の中央値とは所得を低いものから高いものへと順に並べて2等分する境界値をいいます。
分かりやすいように5世帯で構成された所得の平均値と中央値を見てみましょう。
Ⅰ世帯 | 300万 |
Ⅱ世帯 | 350万 |
Ⅲ世帯 | 400万 |
Ⅳ世帯 | 450万 |
Ⅴ世帯 | 1000万 |
平均所得 | (300+350+400+450+1000)÷5=500万 |
中央値 | 5世帯の丁度真ん中に位置する値である400万 |
上記の場合、所得が500万以上であるのはⅤ世帯だけであるにもかかわらず、平均所得は500万円になってしまいました。
この場合は実感とは離れた値になってしまうので、その場合に役に立つのが中央値です。
上記の5世帯の場合は奇数のため、丁度上からも下からも三番目に位置する400万円が中央値になります。
日本の平均所得金額とその中央値は
日本の世帯別の平均所得金額は551万6千円です。
中央値は437万円となっており、所得と中央値の差額は100万円以上であり、一部の所得の高い人が全体の平均を押し上げている状態です。
全年齢の一人当たりにおける所得の中央値は賞与を除いて354万8千円となっています。
- 世帯別の平均所得金額 551万6千円
- 世帯別の中央値 437万
- 一人当たりの所得の中央値(賞与を除く) 354万8千円
まとめると上記のようになります。
こうしてみると、単身世帯の場合の中央値は354万8千円と比較した方が実態と近いことがわかります。
一律に平均所得が551万6千円だといわれると驚いてしまいますが、中央値ベースでみると一人でこの所得を稼いでいる人は多くないことが判明しました。
年代別の平均所得金額と所得の中央値
それでは早速年代別の平均所得金額と所得の中央値を見ていきましょう。
毎年厚生労働省で行われている「国民生活基礎調査」(平成29年)、「賃金構造基本統計調査」(平成29年)の結果をもとに抽出しています。
- 20代(10代を含む)
- 30代
- 40代
- 50代
- 60代
- 70歳以上
- 全年齢
下記をみて、自身の年代での、世帯の平均所得や一人当たりの中央値と比較してみてください。
20代(10代を含む)
20代(一部10代を含む)における平均所得は世帯全体で376万円でした。
世帯人員一人当たりの平均所得は209万6千円です。
一人当たりにおける中央値は賞与を除くと267万円8千円となっています。
30代
30代における平均所得は世帯全体で574万円1千円でした。
世帯人員一人当たりの平均所得は179万6千円です。
一人当たりにおける中央値は賞与を除くと344万8千円です。
40代
40代における平均所得は世帯全体で702万2千円でした。
世帯人員一人当たりの平均所得は222万2千円です。
一人当たりにおける中央値は賞与を除くと418万3千円です。
50代
50代における平均所得は世帯全体で782万4千円でした。
世帯人員一人当たりの平均所得は285万3千円です。
一人当たりにおける中央値は賞与を除くと463万4千円です。
60代
60代における平均所得は世帯全体で534万5千円でした。
世帯人員一人当たりの平均所得は226万9千円です。
一人当たりにおける中央値は賞与を除くと276万4千円です。
70歳以上
70代における平均所得は世帯全体で410万9千円でした。
世帯人員一人当たりの平均所得は197万円です。
中央値を出すためのデータはありませんでした。
全年齢
全世帯における平均所得は551万6千円です。
また全ての年齢における、一人当たりの中央値は賞与を除くと354万8千円でした。
世帯の平均所得は、二馬力の家庭や所得が突出して高い人などに押し上げられていると考えられます。
20代(一部10代を含む)における 世帯の平均所得 | 376万円 | 世帯人員一人当たりの平均所得 | 209万6千円 | 一人当たりの中央値 (賞与を除く) | 267万円8千円 |
30代における 世帯の平均所得 | 574万円1千円 | 世帯人員一人当たりの平均所得 | 179万6千円 | 一人当たりの中央値 (賞与を除く) | 344万8千円 |
40代における 世帯の平均所得 | 702万2千円 | 世帯人員一人当たりの平均所得 | 222万2千円 | 一人当たりの中央値 (賞与を除く) | 418万3千円 |
50代における 世帯の平均所得 | 782万4千円 | 世帯人員一人当たりの平均所得 | 285万3千円 | 一人当たりの中央値 (賞与を除く) | 463万4千円 |
60代における 世帯の平均所得 | 534万5千円 | 世帯人員一人当たりの平均所得 | 226万9千円 | 一人当たりの中央値 (賞与を除く) | 276万4千円 |
70代における 世帯の平均所得 | 410万9千円 | 世帯人員一人当たりの平均所得 | 197万円 | 一人当たりの中央値 (賞与を除く) | 不明 |
全年齢における 世帯の平均所得 | 551万6千円 | 世帯人員一人当たりの平均所得 | 不明 | 一人当たりの中央値 (賞与を除く) | 354万8千円 |
所得金額階級別に世帯数の相対度数分布をみると、「200~300 万円未満」が 13.6%、「300~400 万円未満」が 12.8%、「100~200 万円未満」が 12.6%と多くなっています。
また、中央値(所得を低いものから高いものへと順に並べて2等分する境界値)は 437 万円であり、平均所得金額(552 万 3 千円)以下の割合は 61.1%となっています。(厚生労働省 国民生活基礎調査 2019年)
家族構成ごとの平均所得金額と所得の中央値
上記で年齢別の世帯の平均所得や中央値を知ることができました。
では、高齢者世帯や児童のいる世帯など世帯の構成員はどのように所得に関係しているのでしょうか。
- 高齢者世帯
- 高齢者以外の世帯
- 児童のいる世帯
- 全世帯
順に詳しくみていきましょう。
高齢者世帯
高齢者世帯平均所得は334万9千円となっています。
この場合の高齢者世帯とは、65歳以上の者のみで構成するか、又はこれに18歳未満の未婚の者が加わった世帯を指しています。
高齢者以外の世帯
高齢者世帯以外の世帯の平均所得は653万2千円となっています。
高齢者世帯を除くと、全世帯の平均551万6千円を大きく上回る平均所得となっていますね。
児童のいる世帯
児童のいる世帯の平均所得は743万6千円となっています。
全世帯の平均所得の551万6千円を200万円近く上回っています。
全世帯
全世帯の平均所得は551万6千円となっています。
上記によって、児童のいる世帯や高齢者以外の世帯が全世帯の平均所得を100万以上大きく上回っているのと比較して、高齢者の世帯は平均所得が334万9千円とかなり厳しい状況なのがわかりました。
現在の情勢では年金が今後も大きく上昇することがないと見込まれるため、高齢者の所得も同様の可能性が高いですね。
まとめ
今回は日本の平均世帯年収をみていきました。
いっけんすると、日本の世帯別の平均所得金額は551万6千円と高額に思えます。
しかしながら全年齢の一人当たりの中央値は賞与を除くと354万8千円と、全世帯の平均所得と比較すると200万円程度の差がありました。
ぜひ平均所得だけではなく中央値とも比較してみてください。
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