皆さんは「NHK」というと、何を思い出しますか。受信料の支払いについて思い出す方も多いはずです。NHK受信料についてはメディアで取り上げられることも多く、「NHK受信料を支払わない国民を守る党」という政党もあるほどです。本記事では、注目を集める「NHKの受信料」について、滞納してしまった場合の流れや過去の凡例などを解説します。
NHK受信料の滞納を続けると、財産が差し押さえられる
「NHKと受信料の支払契約をしたが、お金がなくて支払いが厳しい。契約はしたが、受信料を払わなくてはいけないことに納得ができない。」など様々な理由で受信料を払わない・払いたくない方は多いと思います。実際に受信料の滞納をした場合にどうなるのか、具体的な流れを説明します。
NHKから支払いを催促される
受信料の支払い期限を過ぎても支払いをしない場合、NHKから受信料を支払うよう催促状が届きます。
催促状は、支払いが完了するまでNHKから継続的に送付されます。また滞納が続くと、催促状に加えNHKからの電話やスタッフが直接訪問に来ることもあります。
ただし催促状やNHKスタッフの訪問は、受信料を払ってくださいというお願いです。そのため訪問スタッフが無理やり家に乗り込んで、支払いを強制することは認められません。
高圧的な態度で支払いを要求されることもありますが、強制力がないことは覚えておきましょう。
裁判所から連絡が来る
NHKからの支払い催促を無視し続けると、裁判所を通して、「NHKが受信料の支払いを請求していますよ」という催促状が来る場合があります。
これは、先ほどのNHKから催促が来ていたものと重みが異なります。なぜならこの催促状を無視すると、NHKの受信料を支払うことを認めることになるためです。
この支払催促の通知を受けとって2週間以上放置すると、裁判所は民事訴訟法にのっとっり、NHK受信料滞納者に対し仮執行宣言を行います。
財産が差し押さえられる
仮執行宣言が行われると、裁判所は受信料滞納者の財産をいつでも差し押さえられます。
差し押さえの対象は、まず「現金」です。裁判所が銀行口座を差し押さえ、口座に入っている預金から強制的にNHK受信料が引き落とされます。
ほかにも「給与」が差し押さえられる可能性があります。給与が差し押さえられる場合、裁判所より受信料滞納者の勤務先に連絡が入り、給与からNHK受信料が強制的に引き落とされます。勤務先に連絡が入ることが嫌な方は、裁判所から支払い催促状が来たら、2週間以内にNHKに連絡を入れ支払いに応じることをお勧めします。NHK公開のレポートによると2006年11月~2018年6月に差し押さえの申し立てをした件数は1,246件。実際に差し押さえた件数は348件になります。全体の滞納者からみると、差し押さえられた人の割合は少ないですが、実際に差し押さえを受けることはあるため注意が必要です。
NHK受信料を滞納した場合、利息が発生
「ひとまず滞納を続け、裁判所から支払催促が来たら受信料を払えばいいや」と考える方もいるかもしれませんが、そこまで簡単な話ではありません。実は、NHK受信料を滞納した場合は利息が発生することが「日本放送協会放送受信規約」によって定められています。滞納が6ヶ月以上の場合、6ヶ月以降は2ヶ月ごとに2%ずつ利息が発生します。年間換算でなんと12%もの利息が発生します。恐ろしいほど高い利息ですので、利息の支払いが嫌な方は素直に受信料を払いましょう。ただし、コロナ下での負担軽減策として令和2年4月~令和4年9月までは受信料の支払いを延滞した場合でも利息は発生しないとNHKは定めています。受信料を払えない人にとっては嬉しい措置です。
そもそもNHKと契約する必要はあるのか?
NHKを契約する必要がないと発言する人も、最近は増えてきました。またある量販店ではNHKが映らないテレビを販売し話題にもなりました。
NHKは絶対に契約をしないといけないのでしょうか? 結論を言うと「契約をする必要」があります。その理由を詳しく解説していきます。
NHKは放送法に基づいて設立された
なぜNHKは他のテレビ局とは異なり、受信料を払う必要があるのでしょうか。日本のテレビ放送は、テレビ朝日や日本テレビなどの民間放送と公共放送であるNHKとで成り立っています。民間放送はスポンサーが支払う広告料で収入を得ています。番組の間に企業のコマーシャルが流れるのはこのためです。
一方で、公共放送であるNHKは私たちから受信料を徴収することで収入を得ています。これは民間放送ではスポンサーなど特定の企業にいい顔をしないといけないのに対して、公共放送であるNHKは特定の利害関係者を気にすることなく確かな情報を放送できるという面があります。
この「NHKは企業などのスポンサーからの広告収入ではなく、受信者からの受信料をもらう必要がある」という決まりは放送法という法律で定められています。そのため、私たちは一般的にNHKの受信料を支払わなくてはいけないのです。
NHKとの強制的な契約には合理性がある
NHKになぜ受信料を払わなくてはいけないかはわかったが、それでもNHKの受信料を払いたくない方もいると思います。NHKが受信料に対して強制的に受信料を払うことを求めることに対して、裁判所はどのように判断しているのでしょうか。
2017年12月6日にNHK受信料に関する最高裁の判決が出されました。これは、テレビを設置しているがNHK受信料の支払いに応じない男性に対して受信料を支払うようにNHKが訴訟を起こしたものです。
判決結果は、「テレビを設置している場合は強制的に受信料を徴収することは違法ではなく、テレビを設置した時期に遡って受信料を支払うべき」となりました。また、2021年12月2日には、NHK放送を視聴できないように加工したテレビを自宅に設置した女性が、受信料を支払う契約を締結しないとする主張が最高裁により退けられ、NHKが勝訴しました。
これらの事例からも、裁判ではテレビを設置している家庭へのNHK受信料の強制来な徴収は合理性があると判断される場合が多いようです。そのため、どんなに強い意志を持ってNHKと契約しなくてもNHKが本気を出して契約を締結させようとすれば、家にテレビがある限り契約せざるを得ないのです。
急に家にやってきたときの対処法
今まで解説してきたように、テレビを設置している家庭におけるNHKとの受信料の契約は法律的に合理性があります。ただし、NHKが法的な手段を使って受信料の支払いを請求することが稀であることも事実です。
そのため、払わなくても済むなら受信料は払いたくないという人も多く、ある調査によるとテレビを持つ世帯のうち、約13%がNHK受信料の支払いをしていません。
また、多くの方がNHKの訪問スタッフが家庭に訪問に来た際に契約をしています。受信料を払いたくないと思っている場合には、訪問スタッフが急に家にやってきたさいにどのような対応をとればいいのでしょうか。最強の対処方法は、「無視」することです。
当たり前ですが、無視すれば無理やり契約させられることはありません。また万が一、ドアを開けてしまった場合は、「帰ってください・NHKと直接契約します」と言って不要な対話をすることは避けましょう。
無理に訪問スタッフが居座る場合は、不退去罪が適用される可能性もあるので、とにかく家を去ってもらいましょう。訪問スタッフはプロですので、会話すると色々な理由をつけて契約させられることが多いです。
まとめ
NHK受信料の滞納について解説しました。NHKの受信料は法律的には払うことが望ましいです。万が一、滞納して裁判所から催促状が来た場合には急いで対応しましょう。また契約をどうしてもしたくない場合、訪問スタッフと会話しないことが一番です。ご自身が納得できる形で、NHKの受信料と向き合いましょう。
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