避難所での「性暴力」を防ぐ。災害時に起きた“人”のトラブルと対策

大災害や戦争などが起こると、男性よりも立場の弱い女性やお子さんなどが暴力や性暴力などで被害を被ることがよくあります。
今現在、海外で起こっている紛争や戦争でも同様の被害が起こっていることがわかっており、災害時や戦争時の人間関係、DV、虐待、性暴力などについては、専門家が調査を行うと共に予防や改善方法についてのアドバイスも適宜行われています。
例えば、災害時の避難所において考えられる人間関係トラブルや性暴力は、起こって当然の問題として各自治体でもマニュアル等を準備し、被害の拡大を抑える努力が続けられています。
そこで、今回は台風、地震、豪雨などの自然災害の発生時、避難所で起こりやすい性暴力や人間関係トラブルを避ける有効な対策方法や役立つ情報についてお伝えしていきます。

目次

東日本大震災での性被害の現実とは?

https://www.photo-ac.com/

避難所は絶対安全な場所ではない!

避難所がいつも安全な場所ではないということは、事前に知っておくべき大変重要な点です。

避難所のリーダーに、「(夫を亡くして)大変だね。タオルや食べ物をあげるから、夜◯◯に取りに来て」と言われ、取りに行くと、あからさまに性行為を強要されました。(震災で夫を亡くした女性)

https://www.nhk.or.jp/gendai/comment/0011/topic027.html

「避難所のリーダー格を含め複数の男性から暴行を受けた。『騒いで殺されても海に流され津波のせいにされる恐怖があり、誰にも言えなかった』」(女性)

https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_60416a92c5b613cec15c66a2

地震から間もない16年4月下旬、熊本県内の指定避難所。避難者が寝静まった深夜、家族から離れた場所で寝ていた10代少女の布団にボランティアの少年が潜り込んだ。少女は服を脱がされ、体が固まった。助けを求める声を出せず、恐怖と痛みに耐え続けた。

https://www.nishinippon.co.jp/item/n/404493/

仮設住宅での生活も安心できない

仮設住宅での生活も女性が生活するには不利な環境になっていることが多く、一部の男性によって性暴力の被害を被っています。

仮設住宅にいる男性がだんだんおかしくなって、女の人を捕まえては暗い場所で裸にする。周りの人も、“若いから仕方がないね”と、見て見ぬふりをして助けてくれませんでした。(20代女性)

https://www.nhk.or.jp/gendai/comment/0011/topic027.html

・自称「支援活動」をしている男性が、支援者として女性に近づき、不安になっている女性に自分の家に「避難」を勧める。

https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_60416a92c5b613cec15c66a2

誰にも相談できないから女性専用のホットラインにまずは助けを求めること

近年の大規模災害を参考にすると、東日本大震災では、人間関係や家族問題、心や身体の悩みなどについての相談が無料でできる「よりそいホットライン」を開設しましたが、相談者の6割以上が女性に偏っており、女性特有の悩みの相談に答えることが多くなっています。
女性特有の悩みとして多いのが、DV、レイプ、性的虐待などの「性暴力」です。
また、男性よりも立場の弱い10〜20代の子供や若い女性に被害を受けている人が多いことがわかっています。

災害時の性暴力やDVは「対価型」が多い!

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東日本大震災に限らず、過去の大規模な災害を見ても、女性に対する性暴力やDVなどの不幸な出来事は、変わることなく、何度も繰り返されています。
専門家による調査の結果わかったことは、「対価型」の暴力・性暴力が多い、ということです。
この「対価型」とはどのようなものなのでしょうか?
少し詳しくみてみましょう。

女性は基本的に経済的社会的に弱い立場

日本はまだ昔の男性社会の風潮が根強く残っており、災害時は経済的にも社会的にも弱い立場に置かれてしまうのは仕方ないでしょう。
立場の弱くなった女性に対して、優位な立場にある男性が力の差による性暴力の被害を受けるような形になってしまっています。
震災のショックで不安を感じている立場の弱い孤独な女性ほど被害を受けることが多く、「対価型」といって、支援物資の見返りなどを通じて性的関係や性行為を強要するケースが多いと言われています。

家庭内暴力で信頼していたパートナーとの関係悪化

普段からすでに家庭内暴力を受けているケースもありますが、パートナーである男性が震災で仕事もなくなって一緒にいると、妻である女性に対して暴力をふるったり、大声で怒鳴ったりするなどの家庭内暴力が増加しています。
震災や震災後のストレスの影響でますます暴力行為がエスカレートしていくなど、常に女性やお子さんが危険な状況に晒されてしまうと考えていただいていいでしょう。

避難所では男性のリーダーが多く男女の格差が広がりやすい

日本社会では、日常でも女性の立場が弱いことが原因で、震災になると男女の差別意識や格差がさらに拡大される傾向が強くなっています。
男女の経済格差が拡大すれば、女性や子供が経済的にも困窮し、収入も得られませんし、男性のほうが収入が高いことや世帯主が多くの支援金などを受け取ることから、やはり女性が不利な環境に置かれてしまうのも無理はありません。
また、避難所でもリーダーは男性ばかりになっており、男性中心の避難所運営になってしまうことは自然な流れです。

政府や各自治体の避難所運営ガイドラインでは性犯罪防止策を提供

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内閣府が公表している「避難所運営ガイドライン」は、まだ新しいガイドラインですが、これまでの大規模自然災害時の教訓を活かし、少しずつ改善されてきています。
初めての方や若い方でも正しい避難所の運営や有効な性犯罪防止策の情報提供なども行っていますので、事前に目を通し、どのような改善策が必要なのか、各自で考えるようにし、現場で実践できるようになるといいでしょう。

個人のプライバシーを守る避難所運営が必要

男女に関係なく、個人のプライバシーを重視するような避難所運営が重要となっていきます。
女性なら授乳や着替えの場所の確保、生理用品の無償配布などが考えられます。
また、女性やお子さんへの盗撮や身体を触るなどの行為を減らすような啓蒙と警備防犯対策が必要です。

組織に複数の女性が関われる避難所運営

避難所運営は組織で行うものですが、できる限り女性を入れ、女性複数人で参画できるようにしてください。
女性専用スペースの確保や女性ならではの対策は、女性の視点からでないと出てこないからです。
防犯対策として就寝場所を分けたり、巡回警備を実施したりすることも必要です。

女性や子供の意見を取り入れた避難所運営

経済的困窮やDVなども増えますので、女性同士でしか言えないことも多くなります。
女性限定の集まりを開催し、本音で話せるような環境づくりが必要です。
また、第三者機関や専門家に相談できる環境も必要です。
信頼できる公的機関や民間支援グループなどが個人の秘密を守ってカウンセリングできるなどの相談機会や場所を提供するなど、日頃からしっかり活動している組織に委ねるようにしましょう。
他には、性的少数者や児童虐待の問題なども、女性が中心になって解決できるような場を設けるようにしておきましょう。

まとめ:避難所で多い性暴力や人間関係トラブルを防ぐには女性が積極的に運営に関わること!

避難所での性暴力や人間関係トラブルは、極限の精神状態に置かれた時なら誰にでも起こりうるものです。
あらかじめ、避難所運営に関するポイントを知っておき、信頼できる第三者機関などを味方に付け、女性が中心になって積極的に避難所運営に関わることで、極端な男性社会や男性中心の組織運営を変えることができるでしょう。
女性ならではの視点での避難所運営が始まると、性暴力や人間関係トラブルも未然に防ぐことができ、たとえ問題が起こった時でもスムーズに解決できるのではないかと思われます。

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