大規模な自然災害が発生すると、自宅にいると危険な場合もありますので、自治体が運営する避難所を利用することになるでしょう。
避難所には多くの人が集まりますが、新型コロナウイルスやその他感染症などにかかって体調を崩すことも多いので、避難所における一人あたりのスペースについての見直しが進んでいます。
人口の多い地域なら、避難所の確保やスペースの確保が問題となります。
また、人口が少ない過疎地域でも収容人員が増えれば、今の確保している避難場所も手狭になってしまうでしょう。
そのような意味でも新しい避難所の確保と避難所を利用する時の一人あたりのスペースについての見直しが進んでいることを知っておくべきです。
また、避難所を利用する人が多くて利用を断られることもありますので、在宅避難の可能性も考える必要があります。
そこで、今回は台風、地震、豪雨などの自然災害の発生時、避難所を利用するにあたり一人あたりの大きさはいくらなのか?見直しでどのように変わっていくのか?避難所での基本的なマナーやその他避難所が利用できない時の対処法なども併せて役立つ情報をお伝えします。
避難所の一人あたりスペースは決められている!
自治体が運営する災害時や緊急時の避難所は、無料で利用できますが、誰もが無制限に利用できるわけではありません。
多くの人が集まりますし、病気やケガをしている人も多いでしょう。お子さんやお年寄りなど心や身体の調子が悪くて動けない人も多く集まります。
そのような中で共同生活を営むわけですから、避難所では一人あたりのスペースがきちんと決められています。
避難所の収容人員は一人あたりの面積(スペース)で決まっている
避難所の収容人員は、一人あたり面積から算出することができます。
現行計画では、避難者1人あたり1.65平方メートルが基本となっています。
これは、畳約1畳分の広さに相当します。
このスペースの広さでは、感染症対策としては不十分な広さであることから、新しい基準による見直しが進んでいます。
新しい避難様式試算シート
https://diversityjapan.jp/disaster2020/covid19-refuge-sheet.html
畳2畳分の広さで感染症対策
見直しによって、感染症対策を考慮した一人あたり面積は、3.3㎡と7.7㎡の2つの基準が示されています。
3.3㎡といえば、畳2畳分の広さに相当します。
例えば、スフィアハンドブックの最低基準は、3.5㎡となっていますので、それに近い基準での広さを取って、感染症対策に備えています。
半径1.5メートル内に他の人が入らない広さが必要なことも!
2つ目の一人あたり面積の基準は、7.7㎡とさらに広くなっています。
これは、半径1.5メートル内に他の人が入らない広さを必要とします。
ここまで広いと十分な感染症対策になりますが、避難所の収容人数が現行計画の5分の1程度になってしまいます。
感染症対策を行うと、避難所の収容人員が大幅に減ってしまうので、新たに避難所や避難場所を確保するか、在宅避難などを考える必要が出てくるでしょう。
避難所が狭いとどんな影響を及ぼすのか?
避難所は安全な場所です。建物も丈夫で倒壊や浸水する恐れはないでしょう。
食糧や飲水の心配もしなくていいでしょう。
しかし、集団生活になることから、プライバシーはなくなりますし、苦痛に感じることが多くなります。
人が多くて、避難所が狭いとどのような影響があるのでしょうか?
収容人員を超えると避難所でゆっくりできない!
避難所の収容人員を超えると、人が多すぎて、ムワッとしてむせ返るような空気になってしまいます。
避難所の換気がしっかりできていれば問題ありませんが、収容人員を超えると、空気も悪くなって、人の話し声も多いので、ゆっくりできないどころか、全く眠れなくなる恐れがあります。
新型コロナ対策で「3密」を避ける必要が出てきた
さらに追い打ちをかけたのが、新型コロナウイルスという恐ろしい感染症の蔓延です。
これは、日常生活だけではなく、密閉された避難所でも「3密」を避ける必要があるなど、以前にも増して感染症対策を徹底しなければならない事態に陥っています。
ホテルや旅館などを新たに避難所として活用する動き
繁華街などの密を減らすことはもちろんですが、自然災害が増加していることから、さらなる避難所の確保と運営に携わる職員の増員が必要となってきています。
自治体では新たにホテルや旅館などを避難所として活用する動きが出てきています。
一人あたりのスペースが増えると、収容人数も減りますし、咳や発熱などの体調の優れない人が多数出てきた場合は、専用の部屋や区画を確保しなければならないなど、一人あたりのスペースをより広く取って避難所運営をしなければならなくなっています。
換気性能を向上させCO2(二酸化炭素)測定器を利用すること
避難所の感染症対策を考えるうえで、避難所の換気性能の向上が必要となってきています。
収容人員以内で定期的に換気を行えば、ある程度の感染症を予防できることが予想されます。
そこで数値で確認しやすいCO2(二酸化炭素)測定器を設置し、自然換気を増やし、換気設備を常時稼働させて、避難所の居住環境を良好に保つ必要があります。
在宅避難に備えよう!
避難所が使えない場合や断られてしまった場合、人が多すぎて気分が悪くなってしまうような方の場合は、災害時でも自宅で生活を送る「在宅避難」を検討してみましょう。
条件がそろえば在宅避難が可能
在宅避難ができるかどうかは、あらかじめ自己調査が必要です。
自宅が倒壊する恐れや火災などで自宅が燃えてしまう恐れがある場合、過去に水害や土砂災害の影響を受けていた場合で、自然災害時に生活ができない、と判断できたら、在宅避難は諦めてください。
また、災害時に自宅で一定期間生活できる備蓄や防災グッズなども自分で揃えるようにしておきましょう。
こうした条件がそろえば、在宅避難が可能となります。
在宅避難判定フローチャート(PDF:146KB)
https://www.city.taito.lg.jp/bosai/suigaibousai/hinan/zaitakuhinan_bichiku.files/panel2.pdf
自宅に食料品や生活必需品を蓄えておくこと
在宅避難をする場合は、自宅で非常用の備蓄品をそろえる必要があります。
例えば、飲料水、燃料、非常食品、生活用品などです。
停電・断水時でもお近くの避難所ではトイレの利用、食糧や水の受給が可能です。
避難生活ができなくても、避難所はしっかり活用するようにしましょう。
もちろん、非常用持ち出し品も日常備蓄とは別に用意するようにしましょう。
日常備蓄を活用し災害に無駄なく備えること
在宅避難では、日常備蓄が可能です。最低3日間、復旧までの期間が長くなることもありますので、できればご家族の1週間分の備蓄を目指してください。
日常備蓄を実践すると、普段購入している食料品や生活必需品を少し多めに購入するだけでも、非常時に備えることができます。
日付の古いものから順に消費し、減った分を補充するだけで、日常備蓄が可能です。
まとめ:避難所は共同生活でプライベートの確保が難しく制限が多いことを覚悟すること
都市でも人の少ない地域でも避難所のスペースや空間には限りがあります。
コロナなどの感染症対策で、一人あたりのスペースが広くなってきていますが、避難所一か所あたりの収容人員が少なくなってしまうので、ホテルや旅館などを新たに避難施設として活用する動きが進んでいます。
また、避難所が利用できない時に備えて、在宅避難も検討するようにしましょう。
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